澤田 雅仁(新潟月穂の会:卒後16年)
【要旨】
患 者:55歳 女性
初 診:2002年2月8日
主 訴:「あごが疲れる」「歯周病が進行している気がする」
歯 式:
初診時の口腔内は全顎的に中等度〜重度の歯周疾患に罹患しており、咬頭嵌合位は不安定。特に上顎44は局所的に深い垂直性骨欠損が認められ、咬合接触時に大きく動揺し、排膿腫脹をきたしていた。また下顎の骨隆起、頬粘膜の圧痕など口腔内の状態と問診からパラファンクションの存在が疑われた。
スプリント治療を行いながら歯周治療を施し、症状緩和後、適正な顎位を模索しながらテンポラリーに修正を加えていった。
咬頭嵌合位が安定した後、上顎33の咬耗した舌面をコンポジットレジンで形態を回復することによって、ガイドを付与した。
安定した咬頭嵌合位およびガイドが付与された状態でのプロビジョナルを作製、経過観察後、最終補綴物に移行した。
歯周組織は改善がみられ、現在まで大きな問題なく筋症状の再発も認められない。
【結論】
・適正な顎位と安定した咬頭嵌合位およびガイドの付与により歯周組織の安定が図られた。
・側方運動時の臼歯部離開を得ることは臼歯部に対する有害な側方力を回避できる。
・ガイドは機能的な臼歯部咬合面形態を得るためにも必要である。
・適正なガイドは咀嚼筋の過緊張を軽減することにもつながる。