全体会 1 (7/5) |
「平均点のGPを目指して(仮題)」 栃原秀紀(KDM)
担当:山口、境
栃原秀紀先生は、東克章先生とともに東歯周病実践コースの講師をされるとともに、1本のインレー処置から欠損補綴、矯正治療まで基本を大事にした高いレベルの臨床を実践されています。KDMでは栃原先生を目標とする若手は多く、そのお人柄も合わせて慕われております。
また栃原歯科医院は、大正10年に祖父で著名な故栃原義人先生により熊本市の中心部にて開業された歴史ある歯科医院で、1989年に秀紀先生が継承され、今年で25年になります。温故知新と言うのは簡単ですが、これまでの間には多くの取捨選択があったと思われ、伝統を受け継いで、どのように現在のスタイルを作り上げられたのかも興味深いところです。
今回は、大学卒業後30年になるこれまでの歩みとともに、その肩肘を張らない臨床スタイルや、GPとして個々のケースでどのような事を考えながら診療を行っているかなどを、症例を通してお話いただけたらと考えています。
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全体会 2 (7/6) |
「パーシャルデンチャーのプロビジョナルレストレーション」
担当:廣瀬、長谷川
欠損歯列の評価から個別的な欠損補綴につなげるためには、歯式からの情報だけでなく、個体の特徴をとらえた評価が必要です。
金子先生より提案のあったKA367には「四犬歯」「大臼歯支持」の歯列をみるポイントとともに、「歯周病」「咬合力」「嵌合位」のチェック項目がありますが、これらは欠損補綴のリスクファクターともいえるもので、症例の特徴を捉えるために有効です。
このことは重要ですが、そうした評価を踏まえて補綴設計を検討する上では、プロビジョナルレストレーションが欠かせません。治療期間中の暫間補綴物としてだけでなく、個体の特徴を確認しつつ、補綴物の形態、欠損改変の必要性を患者の要望にも耳を貸しながら判断していくために必須のステップとなっています。面倒な手間と捉えられがちですが、患者との良好な関係を築くためにも、歯式からだけの安易な欠損改変を防ぐためにも大切にしなければなりません。
語る会でもその意義は語られてきましたが、意外にも中心に据えた企画はありませんでした。今回、パーシャルデンチャーのプロビジョナルレストレーションにスポットを当て、そこから欠損補綴のあり方について考えてみたいと思います。
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分科会 |
1.10年先を考える
担当:宮田、福田
「10年ひと昔」とはよく言われますが、10年先を語ることは容易なことではありません。口腔内においても、10年先を読んだ歯科治療を行うことなど簡単にできることではないと思われます。
2009年の分科会「欠損歯列のトリートメントプランと予後予測」において、経過観察から当初の治療計画の妥当性を検討し、協議されました。診断は唯一であるかもしれませんが処置方針は様々であり、とくに欠損歯列においては、Eichnerの分類、咬合三角、受圧・加圧、残存歯数、咬合支持指数、歯列内配置などの指標で表されるもののみならず、患者の年齢や生活習慣、咬合力、社会的背景などの個別性、術者の技量などが、その症例の予後を左右するものと考えます。
そこで今回は、卒後15?20年ほどの中堅の先生方に、術後10年経過した症例を振り返り、初診時の見通しの甘さ、読み違えなどを検討し、経過観察からフィードバックできないかと考え、企画しました。提示していただいたケースに関して、事前に若手参加者に資料を提示し、彼らの術前の読み、10年後の経過予測等をアンケート形式で把握し、討論に活かしたいと考えています。
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2.重度歯周病罹患歯の保存に努める
担当:筒井、野村
重度歯周病に罹患しているとはいえ保存の可能性がある歯を、近年では置換医療と呼んで安易に抜歯し、インプラント処置を選択する傾向にあるように思われます。しかし語る会ではこれまでも「1本の天然歯の保存に努める」ことを基本と考え、そのような歯に対して、力と炎症のコントロールを重視して、自然移動、MTM、連結/固定、歯周外科など様々な手技、手法を駆使して保存が試みられてきました。
また、従来の歯周外科によるアプローチでは十分な回復が得られないようなケースにおいては歯周組織再生療法を併用することによって良好な結果が得られる場合も考えられます。2007年の分科会「歯周組織を回復させるための手法」、2011年の全体会「歯根膜による歯周組織の再生」などにおいて再生療法について取り上げられましたが、その効果や適応症の判定にはもう少し検討を加える必要があるのではないかと感じてきました。
今回は重度歯周病罹患歯の保存に努めた症例を集めて、術式の適応症の比較検討ならびに天然歯を残す意義を再認識できればと考えています。
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3.「CBCTの臨床応用」
担当:境
近年、歯科用CBCTの開業歯科医院への導入が急速に進んでいるようです。
これまでの語る会においても、自家歯牙移植における移植歯、受容側の診査およびインプラント埋入部位の形態計測、埋入方向の確認にCTでの診査が有用なことが示されてきました。CTが開業歯科医院に普及することに伴い、このような外科処置の術前診断に加え、根管治療、歯周治療などのより日常的な処置に対しても、臨床応用される範囲が拡大してきています。
また、 自院にCTがあることで、行なった処置の術後経過を3次元的な画像で追いやすいことも、一つの大きなメリットだと考えます。
しかしその一方、"CTを用いれば組織の形態や質、さらに病態を完全に診ることができる"というわけではなく、CT画像での確認や診断に限界を感じている方もおられると思います。
この企画では、そうした点を押さえながら、CBCTを活用されている方に日常臨床での応用法、また注意点などを症例を交えてご紹介いただきたいと思います。その上で、現時点でのCBCTの臨床応用について、その有用性と問題点を整理してみたいと考えています。
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テーブルクリニック |
1.「 歯髄温存療法」
担当:牧、野村
日常臨床でのカリエス処置、簡単なようで難しいと感じたことはないでしょうか?
特に露髄すれすれの深在性カリエスは、歯髄を保存すべきか、抜髄すべきかと悩まされる問題です。抜髄した後で「本当は歯髄が保存できたのではないだろうか?」と疑問をもったり、何とか歯髄を保存したとしても数年後に抜髄となって苦い思いをしたり、そんな経験を持っている方は少なくないはずです。そのため、中には歯髄を保存するよりも抜髄を選択した方がより確実と考えている人もいるかもしれません。しかしながら、歯を長期にわたり保存していくためには、歯髄の存在が重要であることは言うまでもありません。
歯髄保存は昔からのテーマですが、最近では歯髄温存療法として術式も確立されつつあると考えます。本テーブルクリニックでは、処置前の診査から歯髄保存のための術式の選択や使用薬剤を整理し、歯髄保存の可能性を今一度考えてみたいと思います。
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2.「 若手のための咬合再構成講座」
担当:福田、宮田
日常臨床において補綴処置は毎日のように行われています。しかし、若い人たちと話をすると、咬合の概念は解っていても実際の臨床の場で咬合の不具合や不調和を訴える患者さんに対してどのように診断し、治療を進めていくのかわからない、と聞くことが多くあります。
特に臼歯部で咬合崩壊しているような症例では、咬合再構成が必要になるために困難さを伴います。このような症例では、どのように咬合診断し咬合位を決定するのか、そしてそれをどのように咬合器に移し、補綴物をどう作り上げ装着するか、それぞれの過程でとても苦慮します。
そこで今回は、咬合再構成に必要なテクニックとして咬合採得、ゴシックアーチ描記法、顎運動のトランスファー、チェックバイト法、スプリットキャスト法、半調節製咬合器の扱い方を経験豊富な講師陣に解説、デモを行っていただき、そのノウハウを伝授していただきます。咬合を理解してはじめて、長期的に良好な予後を期待できる補綴物を作製することができます。ぜひ若手の参加をお勧めします。
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3.「インプラント埋入位置の検討」
担当:山口、境
臨床歯科を語る会ではインプラント支台のパーシャルデンチャーのあり方について毎年のようにディスカッションされてきましたが、今回はインプラントの埋入位置に絞ってより深くディスカッションを行いたいと考えました。
特に長期の経過症例を持たない若手には、インプラントの埋入位置に関していまだ確信を持てない部分が多く、上下顎どちらを優先するか、咬合支持を優先するのか対称性を優先するのか、対合歯の真下(真上)か前後にずらすのかなど、多くの疑問があると思います。
KDMでは例会において、欠損歯列の歯式のみホワイトボードに記載して、インプラントを使用するならどの位置?とディスカッションすることがよくあります。インプラントを行う前提になりますが、欠損歯列への対応として考え方が整理され、自分のスタンスがより明瞭になると思います。実際の症例も交えながらのディスカッションで進める予定です。
テーブルクリニックという範疇には入らない企画かと思いますが、ベテランの方には、経過をふまえた上での植立位置の決め方についてご教示いただきたいと考えています。
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夜の部屋 |
「歯髄再生療法の現在」国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部 中島美砂子
担当:長谷川、宮田
非可逆性歯髄炎に陥った場合、抜髄を余儀なくされていますが、失活歯の脆さを考えると、可能な限り歯髄を保存したいものです。再生療法の研究も進み、歯髄の再生も人体における臨床研究の段階となって、いよいよ現実味を帯びてきました。今回は独立行政法人国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部の中島美砂子先生をお招きして、歯髄・象牙質再生の現在について歯髄幹細胞よる歯髄再生療法の現在についてご紹介いただけることになりました。日々歯牙の保存に努めている我々にとって非常に興味深く、夢のある内容だと思いますので、今後の展望なども含め、お話をうかがいたいと思います。
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担当:境、山口
永田先生、松田先生の新居が完成しました。HPやFacebookなどで既にご存知の方もおられるかもしれません。医院と同じく設計の随所にこだわりがちりばめられた永田邸、東シナ海を一望できる素晴らしいロケーションの松田邸、両豪邸のご紹介をさせて頂きます。お二人とも新居の完成までは臨床と同じく何度も試行錯誤を重ねられたようです。設計士や建築会社とのやりとり、完成の喜び、引っ越してからの様々なできごとなど、盛りだくさんの内容でお届け致します。KDM一同皆様のお越しを心よりお待ちしております。
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