2015 新人発表事前抄録


自家歯牙移植により咬合支持を獲得した1症例
久保洋平(卒後6年目 救歯会)
【患者概要】
患者: 58歳 女性 
初診:2011年11月
主訴:上顎前歯部咬合痛、腫脹
歯式:
【要旨】
 患者は58歳で6歯欠損です。年齢に対して欠損のスピードは比較的速いと考えられます。上顎右側、下顎左側は中間欠損ではあるものの、すでに臼歯部の咬合崩壊がはじまっており、それに伴い上顎前歯部へのトラブルが拡大していくと予測しました。上顎前歯部を守るために臼歯部での咬合支持を獲得することを治療目標としました。初診時に作製した義歯は受け入れて頂けず、患者は固定性の補綴物を強くご希望されました。そこで、欠損部には上下顎ともに自家歯牙移植を行いました。移植歯は歯根膜の力強さに助けられ、なんとか経過は良好です。今後は移植歯の挙動、歯根破折、二次カリエスに注意して経過観察を行っていきたいと考えております。
術者の診断や治療の未熟さゆえ治療期間は約3年に及びました。術後経過は短いですが、諸先生方にご批判・ご指導いただければと思います。
キーワード:【欠損のスピード 】【プラークコントロール】【固定性補綴】



左右すれ違い傾向患者に歯牙移植で対応した症例
馬場 裕史(卒後14年目 創志会)
【患者概要】
患者: 74歳  
歯式:
【要旨】
 昨年から参加させて頂き今回で2回目です。今後ともよろしくお願いします。
患者さんは初診時74歳 右下のブリッジが破折して咬めないことが主訴で来院されました。
左上5.6.7 右上4の欠損はどうしても義歯を入れることができず、30年以上も放置されている状態でした。
治療を進めていくなかで患者さんの口の中に対する健康観も少しずつ変化していき、欠損に対しては、歯牙移植で対応することにしました。経過の短い症例ですが、皆様の厳しいご意見を頂きたいです。
キーワード:【健康観】【左右的すれ違い傾向】【自家歯牙移植】



下顎遊離端欠損にテレスコープ義歯を用いた一症例
Telescope Denture for lower free-ended edentulous spaces: a case report

南川 剛寛(卒後12年目 KDM )
【要旨】
患者:60歳 女性
初診日:2012年3月
歯式:
   咬合支持数:9 現存歯数:21 咬合欠陥エリア:第2エリア Eichner分類:B1
【治療の概要】
 患者さんはリンガルバーの違和感から両側遊離端義歯を長く使用されておらず、また左上のBr脱離後欠損部を放置されており、歯の挺出や傾斜など咬合平面の乱れが認められました。
左下67の片側遊離端欠損の補綴設計に関しては、一般的に固定性のインプラントが第一候補になると思われますが、今回は経済的事情からインプラントが選択できないことや治療用義歯での検討から、 左下は可撤性の義歯とすることにしましたが、その設計を悩みました。
本症例では患者さんの主訴でもあるメジャーコネクターへの違和感や義歯への抵抗感の減少、クラスブの審美性を改善することを目的に、 片側性の可撤性義歯としてテレスコープ義歯を選択しました。
支台歯の挺出や対向関係の歯槽骨や残存歯の条件なと?問題もありましたが、支台歯を失活させることによるテレスコープ支台歯の破折のリスク回避を優先し、生活歯 にこだわって補綴を行いました。
【まとめ】
本症例においてはインプラントを用いて改変を行わずに、できる限り残存歯の保存、歯髄の保存を最優先して可撤性義歯で補綴設計をすることを考えました。
結果として下顎は患者さんの要望もあり左右とも可撤性となり、上顎は固定性となりました。ただ、患者さんの要望はかなえられ満足されているものの、欠損歯列としては上減の歯列であり、
今後上顎の固定性補綴物のトラブルも予想されます。注意深く経過を追いながら術後対応していくことが重要だと考えています。
キーワード:【遊離端欠損】【テレスコープ】【生活】



上顎の補綴設計を模索した臼歯部咬合崩壊症例
田口裕哉(卒後15年目 無門塾)
【要旨】
患者:65歳 女性 
初診日:2010年1月
主訴:見た目を綺麗にして奥歯で咬めるようにしたい
歯式:
【要旨】  初診時、臼歯部咬合支持はなく、咬合崩壊が進んでいましたが、失活歯ながらも4犬歯が残存している、上下の残存歯の配置が左右対称に近い、咬合力もそれほど強くないといった点などから、義歯による安定した咬頭嵌合位の回復を目標に治療を開始しました。

 不良補綴物をテンポラリーに置き換えながら、根管治療や歯周基本治療などの前処置を行い、上下のプロビジョナルを作製しました。上顎の補綴については前歯部を1次固定にするか2次固定にするかを悩んだため、プロビジョナルをそれぞれの形に改変し、動態などを観察しながら補綴設計を決めることにしました。

それぞれの経過観察より、義歯も安定し、仮着した前歯部にて脱離などのトラブルが見られなかったこと、4本の犬歯の歯軸が咬合平面に対して垂直に近く、犬歯を含む上下前歯部にて安定した嵌合位が保持できたことなどから最終補綴は前歯部を1次固定、臼歯欠損部はクラスプデンチャーで行い、安定した咬頭嵌合位を回復することができました。

 まだ術後経過が1年程度と短いですが、ご意見、ご指導の程宜しくお願いします。
キーワード:【プロブジョナル】【犬歯】【1次固定と2次固定】


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