【要旨】
患者:60歳 女性
初診日:2012年3月
歯式:
咬合支持数:9 現存歯数:21 咬合欠陥エリア:第2エリア Eichner分類:B1
【治療の概要】
患者さんはリンガルバーの違和感から両側遊離端義歯を長く使用されておらず、また左上のBr脱離後欠損部を放置されており、歯の挺出や傾斜など咬合平面の乱れが認められました。
左下67の片側遊離端欠損の補綴設計に関しては、一般的に固定性のインプラントが第一候補になると思われますが、今回は経済的事情からインプラントが選択できないことや治療用義歯での検討から、
左下は可撤性の義歯とすることにしましたが、その設計を悩みました。
本症例では患者さんの主訴でもあるメジャーコネクターへの違和感や義歯への抵抗感の減少、クラスブの審美性を改善することを目的に、
片側性の可撤性義歯としてテレスコープ義歯を選択しました。
支台歯の挺出や対向関係の歯槽骨や残存歯の条件なと?問題もありましたが、支台歯を失活させることによるテレスコープ支台歯の破折のリスク回避を優先し、生活歯 にこだわって補綴を行いました。
【まとめ】
本症例においてはインプラントを用いて改変を行わずに、できる限り残存歯の保存、歯髄の保存を最優先して可撤性義歯で補綴設計をすることを考えました。
結果として下顎は患者さんの要望もあり左右とも可撤性となり、上顎は固定性となりました。ただ、患者さんの要望はかなえられ満足されているものの、欠損歯列としては上減の歯列であり、
今後上顎の固定性補綴物のトラブルも予想されます。注意深く経過を追いながら術後対応していくことが重要だと考えています。