【患者概要】
初診:2012年2月
患者: 主婦 女性
主訴:左下5が噛むと痛い、 右上5が舌でひっかかる
歯式:

【要旨】
患者は上記の主訴で来院された70歳の女性。患者の悩みである多汗症に配慮しながら治療を進めたことで良好な信頼関係を築くことができた。
左下5には歯根破折を疑わせる所見があったが、不確定だったため自然挺出を利用して歯牙の保存を試みた。
右上5には骨縁下カリエスが認められたため、矯正的挺出を行い歯牙の保存に努めた。これまで、上顎の補綴物は短い期間で壊れてしまい、その度に歯を失い、欠損の拡大を繰り返してきたと残念そうに話された。今回はそうならないよう、術後対応しやすい設計をTEKで模索し、考えた。
上顎の欠損部にはコーヌスBrで対応した。3年半という短い期間ではあるが問題は生じていない。しかし、残存歯の条件から不安を抱えている。ご主人の介護も重なり油断できない状況は続くが、定期検診に欠かさず通って下さる患者の気持ちに応えるためにも、今回装着した補綴物が患者にとって最終補綴物になるようサポートしていきたいと考えている。
【考察】
・患者の悩みに配慮しながら処置を行う大切さを改めて学んだ
・上顎の補綴設計に二次固定を選択したことでメインテナンス等術後対応しやすくなり、この補綴設計で良かったと考えている
・咬合関係が難しく定期的に調整しているが、今後も注意深く観察し対応していく