年始早々に起きた令和6年能登半島地震、そして飛行機事故と波乱の幕開けとなってしまった本年。
令和6年能登半島地震により犠牲になられた方々には心より哀悼の意を表します。
石川県・富山県・新潟県を中心に臨床歯科を語る会にも被災された方々が多くいらっしゃいます。
被災された皆様とそのご家族、関係者の方々には心よりお見舞い申し上げます。一日も早く平常の生活に戻ることができるよう願って止みません。
本案内文の最後に、今も復興に多くの時間と費用を要している被災地への寄付のお願いを記載させていただきました。そちらもご一読ください。
大変なスタートではありましたが、この一年が会員の皆様にとって有意義で素晴らしい一年になるよう心よりお祈り申し上げます。
さて、本年7月に開催される臨床歯科を語る会の案内を送らせていただきます。
昨年に引き続き、”不易流行”をモットーに、ベテランから若手まで参加しやすい企画を準備しました。案内文をご覧いただき、ぜひご参加をお待ちしております。
昨年に続き、ドクターブック様の協力によって事後の動画配信を本年も行う予定です。
ところで、昨年末にたいへん残念なニュースが舞い込んでまいりました。
2010年、松井宏榮先生が実行委員長の時よりお世話になっているクロスウェーブ府中ですが、本年8月をもって閉館することが決まりました。
本年がクロスウェーブ府中での最後の開催となります。
いまや語る会の代名詞ともなっている”地酒の部屋”、府中という場所が作り出すあの異様なほどの盛り上がりも今年が最後となってしまいます。
臨床歯科を語る会も発足以来、何度か会場を移しておりますが、今回のクロスウェーブ府中が過去最長で今年で14年目でした。
松井宏榮先生、千葉英史先生、筒井純也先生と実行委員長も4代お世話になり、途中コロナ禍により一年のお休みを挟みましたが、この会場でも様々なドラマが生まれました。
非常に残念ですが、最後の府中での開催、会員の先生方におかれましてはぜひ足を運んでいただき、楽しんでいただければと思っております。
2025年以降の会場については、現在探しているところでありますが、こちらは決まり次第ご報告させていただきます。
みなさまのご参加、心よりお待ち申し上げております。
語る会実行委員長 斎田寛之(火曜会)
全体会 |
1.超高齢社会におけるGPの役割 2
担当:村井 小野
歯科医療は外来診療が中心ですが、年齢階級別歯科受療率は70歳~74歳をピークとしてその後は急速に低下するという実態があります。一方で訪問歯科診療に目を向けると、約20%の診療所が毎月平均12件ほどの訪問歯科診療を行っているのが現状で、この実施件数は全要介護高齢者を対象とした月1回の在宅歯科医療サービスを想定した場合、わずか3,6%の充足率と言われています。
2023年語る会では、主に来院可能な時期にGPとしてできること、しておくべきことなどを多方面から討論しました。本年は継続企画といたしまして、訪問歯科診療(在宅・施設)を行うにあたり、ハードルとなっているであろう事案をまとめ皆様に共有し、さらには経験豊かな須貝昭弘先生(火曜会)と佐渡島で地域に根ざした対応をされている渡部守先生から訪問歯科診療を視野に入れた診療室での対応や、実際の訪問診療での対応をお話しいただき、皆様とディスカッションできたらと思います。
2.”歯周病と力” 歯槽骨吸収にまつわる考察と最新知見
担当:川上 斎田
臨床歯科を語る会では長年、歯周病と力の問題に向き合ってきました。力のみでは歯周病は進行しないというのが一般論ですが、近年、力も骨吸収を起こすメディエーターとなりうるというメカニズムが明らかになって来ました。
今回はすでに歯科雑誌やメディアなどでご活躍され、歯科における骨免疫学の第一人者であられる東京大学大学院医学系研究科の塚崎雅之先生と臨床歯科を語る会からは千葉英史先生、熊谷真一先生(他演者は未定)にご登壇いただきます。
千葉先生・熊谷先生からは歯周病と力にまつわる臨床の疑問を提示していただき、塚崎先生からは免疫と歯周炎進行の関係、力と歯槽骨吸収の関係などについて最新の知見を踏まえながらわかりやすく解説していただき、その真相に迫りたいと思います。どうぞご期待ください。
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分科会 |
1.審美性を考慮した前歯部補綴処置
担当:鎌田 三箇 南川 片山
前歯部の補綴処置を行う際、審美性を考慮することは最優先事項であり、どの世代どの地域においても重要なことではないでしょうか。一方で審美性とは「白い」「綺麗」を追い求めるのではなく、年代や加齢に応じた、特に個々の口腔内に調和させ自然感を持たせることも重要となります。
オールセラミックス、ラミネートベニア、メタルセラミックス、レジン前装冠、ダイレクトボンディングなど、前歯部の修復方法は数多くありますが、今回はそれぞれの特性を活かし、どの様に審美的に仕上げ、それがどう維持されるのか、また健全歯だけで無く歯周病患者や欠損歯列への対応を含め、臨床歯科を語る会ならではの審美性を考慮した前歯部補綴処置を、皆様とディスカッションできたらと思います。
2.加齢変化を見据えたパーシャルデンチャー
担当:長野 野地 川上
昨年、臨床歯科を語る会全体会「超高齢社会におけるGPの役割」において、後期高齢者・超高齢者の補綴治療の目標は、いわゆる「美しくて良く噛める義歯」から「より扱いやすく、不自由が無い義歯」へと変化することが示唆されました。
しかし、その変化がいつどのように起こるのかを予測するのは容易なことではありません。そして、その術後対応は患者の人・口・歯の条件により多岐に渡ります。高齢の患者に義歯を製作する際にはそれらの変化を予測して設計・対応することが求められます。高齢者における加齢変化を見越した義歯とはいかなるものか?変化していく高齢者の術後にどう対応するか?
今回の分科会では、加齢変化を見据えたパーシャルデンチャーの設計や術後対応などについて、長期経過症例も踏まえながら参加者の皆さまとディスカッションできたらと思います。
3.根分岐部病変にどう立ち向かうか?
担当:斎田 村井 渡邉
「臨床歯科を語る会では長く取り扱われてきたテーマですが、ちまたでは抜歯の理由とされることもある根分岐部病変に、今回改めてスポットを当てたいと思います。
歯周治療の難関、根分岐部病変に対しては、病態に応じては再生療法をはじめとした様々な試みがなされいますが、その解剖学的な複雑性から思うような結果を得るのは容易ではないのが現状です。しかし元に戻すだけがゴールではなく、維持安定を目的とすれば、歯周基本治療での対応、分割、抜根、補綴的対応など様々な選択肢が考えられ、それらの予後は決して悪いものばかりではありません。
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若手症例相談部屋 |
担当:南川 片山
多くの若手の先生方は、臨床で悩む場面が多々あり、その中で決断をし治療を終えたものの、果たしてこれで良かったのかと悩むこともあるかと思います。「若手症例相談部屋」を今年も開催します。今年のコメンテーターはKDMの松田光正先生です。ぜひ、若手の皆様のご参加をお待ちしております。
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ポスター発表 |
担当:渡邉 小野
今年も土曜日昼はメイン会場でポスター発表を行います。
若手の先生は症例を見ていただくチャンス、ベテランの先生は後進に伝える機会として、若手・ベテラン問わず、演題も受付しています。ご参加お待ちしています。
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夜の部屋 |
① デジタルデンチャー秘話
担当:川上
昨年の全体会では「デジタルデンティストリー」として、矯正治療とIOSが関与する補綴治療の内容がメインでした。今回は、その時テーマに挙げきれなかったもう一つの話題「デジタルデンチャー」を取り上げます。講師はデジタルデンチャー第一人者であり当会会員の山崎史晃先生です。著書「デジタルデンチャーの時代がやってきた」の内容はもちろんのこと、デンチャーとの出会いや変遷の話、今に至るまでの苦労話やここだけの㊙︎話など、夜の部ならではの興味深い時間になると思います。乞うご期待下さい。
②海外ボランティアのすすめーパラオでの活動報告
担当:南川 片山
今回『海外ボランティアのすすめ』という語る会ではなかなか取り上げられる機会が少ないテーマを企画しました。演者は福岡でご開業され、語る会会員でもある小川先生、岡本先生です。
日常臨床の傍ら、自ら国際医療協力NGO Pansy Projectを立ち上げ、パラオ共和国での歯科医療支援活動を行っておられます。
現地での活動としては年1~2回、ベラウ国立病院での医療活動、現地スタッフへの技術提供、それと並行して医療機器や材料の支援などを行われています。また、ボランティア活動をしたい方と現地の病院を繋ぐ支援もされており、従来の二人での活動を行われていましたが、昨年初めて日本チームを組むことになり、私も8日間、現地での支援活動に参加させていただきました。
鋳造ができず、治療の第一選択は充填、その先は抜歯というあまりにも日本とはかけ離れた医療体制であり、日本はとても恵まれた歯科医療環境にあることを痛切に感じました。私自身、パラオでの活動は今後の歯科医師人生を考える転機となりました。
歴史的に日本とも馴染みの深い、パラオ共和国での活動のお話を聞いていただければ、何か心に感じるものがあると確信しております。
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